みんなも薄々感づいてることだとは思うんですけどね……。
「日本の市場って、前日の米国市場に追従してるだけなのでは……?」
って!
というわけで、実際どれくらい相関が高いのか、いやもっと踏み込んで、日本市場はどれくらい米国市場を意識して動いているのかを調べてみたいと思います。
日本市場は日経平均株価、米国市場はS&P 500、それぞれの日次データを使用。
──とその前に。
米国時間は日本時間に対して12時間ほど遅れています。
つまり、例えば11/22の日本市場は、11/21の米国市場が閉まった後に開くことになるわけですね。
なので、「日本市場が米国市場の影響をどれだけ受けているか」を調べるためには、日付的に同日のデータの相関係数を測るのではなく、日本市場と、その1日前の米国市場の値動きの相関係数を調べる必要があります。
では実際にやってみましょう。
データ並べて関数入れるだけですので、すぐですね。
それによれば……
直近10年(2012年11月18日〜2022年11月17日)の相関係数
0.43
やはり、明確に正の相関がありましたね!
う〜ん。
そういえば、ここでちょっと気になることが出てきますね。
例えば月曜の日本市場。
これは、上記測定だと前週金曜の米国市場と比較してることになるわけですが。
いくらなんでも、そんな前の市場の動きに影響は受けないだろう、と。
というわけで、「前日の米国市場が開いてなかったケース」は除外して計算してみましょう。
米国市場の金曜分と、同じく米国市場の祝日分を除いて相関係数を調べるわけですね。
その結果は……
0.45
あまり変わりませんが、しかしやはり、その日の朝まで開いていた米国市場との相関の方がより強いことが分かりました。
逆に、前日に米国市場が開いてない場合、米国市場との相関は落ちるというわけですね。
もっと具体的に言うと
なるほど、大体予想した通りの結果ですね。
しかしそれでも、思ったほど高くはないですね。
私自身、米国株式を売買するようになって2年くらいしか経ってませんし、私だけではなく、市場関係者が米国市場を強く意識するようになったのは思いの外最近の話なのかもしれません。
ということで、実際に期間を直近5年(2017年11月18日〜2022年11月17日)に絞って計測してみました。
その相関係数は……
0.46!
おお、やはり上がってきましたね!
では直近10年と同様に、前日に米国市場が閉まっていたケースを除いて再計算すると……
0.50!
かなり高い数値がでてきました!
こうなってくると、もっと最近のデータに絞って算出してみたくなりますねぇ!
結果は
0.43
おや、再びちょっと下がりましたね。
では前日に米国市場が閉まっていたケースを除いて計算すると
0.47
やはり上がります。
しかし、直近5年と比較するとやや相関が下がりましたね。
私が米国市場に参加したあたりですね(実際はもうちょっと前からだけど)。
世間的にも、米国市場がフィーチャーされ、米国株関連のブログがもっとも乱立したあたりでもあります。
結果は
0.56
高いですね!
では前日に米国市場が閉まっていたケースを除くとどうなるか。
結果は
0.58
と、かなり上がってきました。
その相関係数は……
0.56
直近2年と変わりませんでしたね。
では最後も同様に、前日に米国市場が閉まっていたケースを除くとどうなるか。
結果は
0.63!
最後の最後に、もっとも高い数値を叩き出してしまいましたね。
また全ての期間において、前日に米国市場が開いていた場合は特にその影響が強い、とも。
米国市場の影響を強く受けるのは何も日本だけではありませんし、仕方のないことかも知れませんが、もう少し独立した市場であって欲しいものですね。
一般的に、サンプル数が少ない方がデータの信頼性は落ちますので、直近10年と直近1年では、信頼性という点では異なりますので注意が必要です。
正しく判断するためには、たとえば2012年の相関係数、2013年の相関係数……と言った具合に、同じ日数(サンプル数)で期間をずらした相関係数で比較すべきだったかもしれません。
結果、高い相関係数が算出されましたが、それを以て「日本市場は米国市場を追従しているだけだ!」と判断するのはフェアじゃありません。
日本市場と、その後開く米国市場にはどれほどの相関係数があるのか。
調べてやろうじゃありませんか!
というわけで、直近10年の相関係数を調べてみると……
0.2……
酷いっ! 日本はこんなにも米国市場をガン見してるっていうのに!
あんまりじゃないですか!
日本市場がどんな動きをしようと、どこ吹く風。
まったく意に介さぬ動きをするようです。
なんという辛い現実でしょう。
まぁ大体同じような流れでしょうから、直近1年までの相関係数を一気に流したいと思います。
直近5年:0.25
直近3年:0.26
直近2年:0.21
直近1年:0.24
となりました!
この数値の動きも、「え、別にどうでもいい……」といった感じで特に傾向はありませんね。
まるで恋……、切ない片思いみたいな話ですね!
…………。
悲しいおっさん達は置いといて。
巷でもよく「日米市場の相関は高い」という話を耳にします。
実際そうしたデータを見ることもありますがしかし、そうした「日米市場の相関係数」というと、だいたい月次データから測ったものかと思います。
月次データから測ってるわけですから、「日本市場 → 米国市場」とか「米国市場 → 日本市場」みたいな細かい順番は影響しないデータになっているはずです。
そうしたデータだけを見ると、確かに「日米市場の相関は高い」と言えるわけですが、少し見方を変えてみると、今回調べたような偏りがあることが分かります。
もちろん、長期投資をするのであれば、日々の相関の高さなどは気に留めるべくもなく、それこそ月次データから測る相関係数の方が大事でしょう。
しかし、逆に短期投資、特にデイトレードやスイングトレードをする方々にとっては寧ろ、月次ベースの相関よりも今回使用したような日次ベースのデータの方が重要になるはずです。
「皆が言っているなら、そうなのだろう」と情報をただ鵜呑みにするのではなく、自分の戦略にあったデータを探し、検証して使っていきたいものですね。 ★★
「日本の市場って、前日の米国市場に追従してるだけなのでは……?」
って!
というわけで、実際どれくらい相関が高いのか、いやもっと踏み込んで、日本市場はどれくらい米国市場を意識して動いているのかを調べてみたいと思います。
方法
まず、直近10年間で、日本市場が米国市場の影響をどれだけ受けているかを相関係数を測って調べます。
日本市場は日経平均株価、米国市場はS&P 500、それぞれの日次データを使用。
──とその前に。
米国時間は日本時間に対して12時間ほど遅れています。
つまり、例えば11/22の日本市場は、11/21の米国市場が閉まった後に開くことになるわけですね。
なので、「日本市場が米国市場の影響をどれだけ受けているか」を調べるためには、日付的に同日のデータの相関係数を測るのではなく、日本市場と、その1日前の米国市場の値動きの相関係数を調べる必要があります。
では実際にやってみましょう。
結果
直近10年
早速結果です。データ並べて関数入れるだけですので、すぐですね。
それによれば……
直近10年(2012年11月18日〜2022年11月17日)の相関係数
0.43
やはり、明確に正の相関がありましたね!
でも思ったより高くはないなぁ
相関係数0.6くらいはあるだろうと思ったんだけど
相関係数0.6くらいはあるだろうと思ったんだけど
う〜ん。
そういえば、ここでちょっと気になることが出てきますね。
例えば月曜の日本市場。
これは、上記測定だと前週金曜の米国市場と比較してることになるわけですが。
いくらなんでも、そんな前の市場の動きに影響は受けないだろう、と。
というわけで、「前日の米国市場が開いてなかったケース」は除外して計算してみましょう。
米国市場の金曜分と、同じく米国市場の祝日分を除いて相関係数を調べるわけですね。
その結果は……
0.45
あまり変わりませんが、しかしやはり、その日の朝まで開いていた米国市場との相関の方がより強いことが分かりました。
逆に、前日に米国市場が開いてない場合、米国市場との相関は落ちるというわけですね。
もっと具体的に言うと
日本市場の火曜から金曜は、前日の米国市場(その日の朝まで開いていた米国市場)の結果に左右されやすい
日本市場の月曜は、他の曜日ほど米国市場の影響を受けない
なるほど、大体予想した通りの結果ですね。
しかしそれでも、思ったほど高くはないですね。
直近5年ではどうか
ではもっと、最近のデータで調べてみてはどうでしょう。私自身、米国株式を売買するようになって2年くらいしか経ってませんし、私だけではなく、市場関係者が米国市場を強く意識するようになったのは思いの外最近の話なのかもしれません。
ということで、実際に期間を直近5年(2017年11月18日〜2022年11月17日)に絞って計測してみました。
その相関係数は……
0.46!
おお、やはり上がってきましたね!
では直近10年と同様に、前日に米国市場が閉まっていたケースを除いて再計算すると……
0.50!
かなり高い数値がでてきました!
こうなってくると、もっと最近のデータに絞って算出してみたくなりますねぇ!
直近3年
というわけで、直近3年(2019年11月18日〜2022年11月17日)です。結果は
0.43
おや、再びちょっと下がりましたね。
では前日に米国市場が閉まっていたケースを除いて計算すると
0.47
やはり上がります。
しかし、直近5年と比較するとやや相関が下がりましたね。
直近2年
つづけて直近2年(2020年11月18日〜2022年11月17日)です。私が米国市場に参加したあたりですね(実際はもうちょっと前からだけど)。
世間的にも、米国市場がフィーチャーされ、米国株関連のブログがもっとも乱立したあたりでもあります。
結果は
0.56
高いですね!
では前日に米国市場が閉まっていたケースを除くとどうなるか。
結果は
0.58
と、かなり上がってきました。
直近1年
最後に、直近1年(2021年11月18日〜2022年11月17日)を見てみましょう。その相関係数は……
0.56
直近2年と変わりませんでしたね。
では最後も同様に、前日に米国市場が閉まっていたケースを除くとどうなるか。
結果は
0.63!
最後の最後に、もっとも高い数値を叩き出してしまいましたね。
日本市場の影響の受けやすさ
というわけで、年を追うごとに、日本市場は米国市場からの影響を受けやすくなってきているということが分かりました。また全ての期間において、前日に米国市場が開いていた場合は特にその影響が強い、とも。
米国市場の影響を強く受けるのは何も日本だけではありませんし、仕方のないことかも知れませんが、もう少し独立した市場であって欲しいものですね。
各データに関する補足
ここでちょっと補足ですが、相関係数を算出したそれぞれの期間では、当たり前ですがサンプル数が異なります。一般的に、サンプル数が少ない方がデータの信頼性は落ちますので、直近10年と直近1年では、信頼性という点では異なりますので注意が必要です。
正しく判断するためには、たとえば2012年の相関係数、2013年の相関係数……と言った具合に、同じ日数(サンプル数)で期間をずらした相関係数で比較すべきだったかもしれません。
やろうと思えばすぐできるけど、なんか疲れたからヤダ!
子供か!
しかし、それではフェアじゃない!
ここまで、米国市場→日本市場 という順序だけの相関を見てきました。結果、高い相関係数が算出されましたが、それを以て「日本市場は米国市場を追従しているだけだ!」と判断するのはフェアじゃありません。
逆に、米国市場も日本市場の追従をしているのかもしれないじゃん!
日本市場と、その後開く米国市場にはどれほどの相関係数があるのか。
調べてやろうじゃありませんか!
調べてみると……
時差的に、日本市場が開いた後に米国市場が開くことになりますので、単純に同日の日本市場と米国市場の動きで比較すればいいわけですね。というわけで、直近10年の相関係数を調べてみると……
0.2……
低っく!!
酷いっ! 日本はこんなにも米国市場をガン見してるっていうのに!
あんまりじゃないですか!
日本市場がどんな動きをしようと、どこ吹く風。
まったく意に介さぬ動きをするようです。
なんという辛い現実でしょう。
まぁ大体同じような流れでしょうから、直近1年までの相関係数を一気に流したいと思います。
直近5年:0.25
直近3年:0.26
直近2年:0.21
直近1年:0.24
となりました!
この数値の動きも、「え、別にどうでもいい……」といった感じで特に傾向はありませんね。
終わりに
というわけで、日本市場は米国市場の影響を強く受けるが、米国市場は日本市場の影響をほとんど受けない、というとても切ない結果となってしまいました……。まるで恋……、切ない片思いみたいな話ですね!
「恋」……?
遠い昔に聞いたことあるような……?
遠い昔に聞いたことあるような……?
なんじゃろな……?
何か殺意のようなものが湧いてくるし、戦争関連の言葉かも知れん……
何か殺意のようなものが湧いてくるし、戦争関連の言葉かも知れん……
…………。
悲しいおっさん達は置いといて。
巷でもよく「日米市場の相関は高い」という話を耳にします。
実際そうしたデータを見ることもありますがしかし、そうした「日米市場の相関係数」というと、だいたい月次データから測ったものかと思います。
月次データから測ってるわけですから、「日本市場 → 米国市場」とか「米国市場 → 日本市場」みたいな細かい順番は影響しないデータになっているはずです。
そうしたデータだけを見ると、確かに「日米市場の相関は高い」と言えるわけですが、少し見方を変えてみると、今回調べたような偏りがあることが分かります。
もちろん、長期投資をするのであれば、日々の相関の高さなどは気に留めるべくもなく、それこそ月次データから測る相関係数の方が大事でしょう。
しかし、逆に短期投資、特にデイトレードやスイングトレードをする方々にとっては寧ろ、月次ベースの相関よりも今回使用したような日次ベースのデータの方が重要になるはずです。
「皆が言っているなら、そうなのだろう」と情報をただ鵜呑みにするのではなく、自分の戦略にあったデータを探し、検証して使っていきたいものですね。 ★★
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