先日、日米市場の相関について調べました。
その結果「日本は前日の米国市場の影響を強く受けるものの、米国市場は日本市場の影響をほとんど受けない」という悲しい事実を付けつけられてしまいました……。



であるなら!

であるなら、朝イチで米国市場の結果を確認し、米国が上がっていたなら日経平均のETFを買い、逆ならそのベアETFを買う、という戦略をとれば常勝無配なのではっ!?

……というね。
誰もが思いつく戦略が、実際成り立つのかどうかを調べてみました。

まぁ結果はご想像の通りですけどね。
どっかに書きましたが、誰でも思いつき、誰でもできるような戦略にエッジなんてあるわけないんですよね。

しかし、こうして具体的にどんな結果になるのか数値で示すことで、無駄に夢を見て血だるまになる人間が世界から一人でも減ればいい──だなんて1mmも思ってないんですけど、おもしろそうだったので調べてしまいました。

むしろぼく以外の人間全員血だるまになれ!
…………
ろくな死に方せんよ?

さて。

実験
別に難しいことやったわけではないので、皆さんも色々条件を変えてやってほしいんですけど。

前回はS&P 500と日経平均を見比べましたが、今回は実際に売買したらどうなるかを見たいので、具体的なETFを挙げねばなりません。
ので、とりあえず最初に目についた、「1320 大和日経平均」を使います。

で、直近の10年('12 /11 /19 (月)から'22 /11 /18 (金))で、前日に米国市場が開いている場合、米国のS&P 500が上がっていればこの1320を寄付きで10株買い、そして大引けで売る。

あ、「米国が下がった場合はベアETFを」みたいなことを上で書きましたが、日経のベアETFを探すのが面倒だったのと、なんというかその、つまり面倒だったんで、米国が下がった場合は寄付きで同1320を空売りして大引けで買い戻すってことにしました。

信用の手数料とかよく分からないんで、手数料は現物のものを使用。
すみません、杜撰で。

まぁその辺はフィーリングで!


結果
10年間ひたすら、米国が上がってれば1320を寄付き(始値)でロング、下がっていればショート。
そして、大引けでポジション解消し続けた結果は……
-131,250円!

10年一生懸命売買して、結果-131,250円!!!
悲しすぎますね……。

尚、さらに残酷なことに、これには手数料が含まれてません。
ので、これも出していきましょう!

まさに死体蹴り……
屍肉ダッ 屍肉ノ匂がスルッ!

手数料は、私も使っているマネックスさんを参考にしました。
(参考:https://info.monex.co.jp/stock/fee.html

1320は安い時で9,000円くらいですから10株買うと9万円。
この場合手数料は片道99円、往復で198円ですね。

直近だと10株で28万円くらいかかりますので、片道の手数料は225円。
往復で550円かかることになります。

さて、これが10年詰みあがるとどうなるか。
結果は……

手数料:1,020,006円!!
なんと100万円を超えてきました!!

つまり、トレードの損失と併せて、-1,151,256円になるってことですね。
すごぉい!

思い返せば2020年、短期トレードに勤しんでいた私は、同じマネックスさんに1年で100万円以上手数料払ったことがありました。
今ではいい思い出ですが、実際にそんだけ手数料を取られた当時よりも、何故かシミュレートの手数料を見た時の方が怒りが湧くのは不思議ですね!

相関が高いはずの米国に従ったのに、なぜなのか
そう、おかしな話ですね。

米国が上がった翌日は、日経平均も上がるはずなのに!

──というのは実はとても簡単な話で、米国が上がった翌日の日本市場は、寄付きの段階で既に上がってるんですよね。

前日比でみれば米国と同じ上げ下げをしてるんですが、その日の寄付きと終値で比較するとどうなるか分からない、と。
つまり、寄付きで買うのはもう遅いってことなんですね。

ちなみに、勝率も出してみたんですけど、現物と空売りのトータルの勝率は45.07%でした。
なんと50%切るんですね!

尚、これは大和のETFでの結果ですが、生の日経平均をベースに算出すると、実は手数料を引く前の段階ではプラス益なんですよね。
なので、ETFであるが故の下方向の圧力が何かあるのかもしれませんが、ちょっとやそっとプラスになったくらいで手数料100万円がどうにかなるとは思えません。

もしかすると、市場が開く前、時間外取引(PTS)を使えばなんとかなるのかもしれませんが、PTSのデータがどこにあるか分からなかったんで調べられませんでした。
そもそもマネックスさんはPTSに対応してないので、調べるモチベーションがいまいち……。

もしPTSのデータの在り処をご存じの方がいたら教えてください。
(多分)同様の調査を行いますので。

条件を変えて挑んでみる
さて、ここまでの結果は、前日の米国市場が、たとえ0.01%でもプラスであれば日経ETFを買う、という戦略でしたが。 この判断基準となる米国の騰落率に、ある程度しきい値を設けてみたらどうなるのか。

とうことで、前日の米国市場が1%以上上げたら日経ETFをロング、1%以上下げたらショートする、という戦略を調べてみました。

このパーセンテージはフレキシブルに変更できるように関数組んだんですけどね。
変えても大して差が無かったんで、1%の結果だけ載せれば十分かなって……。

このアンニュイな態度で大体想像つくとおもうんですが。

結果は10年間で-96,050円。
先ほどの結果は-13万円くらいでしたので、多少マシにはなりましたね。

しかし、これも手数料は加味されてません。
手数料を計算すると……

その手数料は192,068円!
おお、100万円に比べたら1/5くらいに圧縮されてますね!

損益と合算すると、-288,118円になりました!
わぁ〜、良かったですねぇ~!

……いや1mmも良くないけど……。

おわりに
まぁ分かってた結果ではありましたけどもね。
予想外だったのは手数料の高さくらいなもので……。
いや、常々日本の証券会社の手数料の高さには辟易してたところですが、まさかここまでとは。

手数料はさておき。
冒頭でも書きましたが、やはり誰でもマネできるような手法にエッジなんて存在しないんですね。
仮にそこにエッジが存在したとしたら、みんなマネするわけですから。

いや寧ろ、エッジを刈り取ろうとする人間が大挙しているなら、そいつらを刈り取ろうとする人もでてくるわけで、そうするうちに、刈り取ろうとしている人を刈り取ろうとする人を刈り取ろうとする人が出てきて……

そうして皆で裏を掻き、首を掻きあいながら、市場は効率的になっていくのですね。

というわけで、そんな簡単に儲かる話なんてやはりなく、あるとしても、誰でも閲覧可能なこんなブログなわけがないわけですね。
誰も見つけてないエッジを、自分なりの手法で見つける以外ないんでしょうけど、この分野もAIの進出が目覚ましいですし、難しそうです。

結局のところ、ゴールデンクロスだデッドクロスだなんてエントリーでも同様の結論に至ったようなきがしますが、我々凡夫は黙々と、ガチホするか積み立てるかが最善の策なのかもしれません。

つまらないかもしれないけれど、きっと。 ★★