思えば少し、更新が滞ってましたね。
今回はその、更新が滞っていた言い訳記事です(嘘です本当です)。

実は、途方に暮れてしまって、何も手につかなくなってたんですよね。

何に対して途方にくれていたかと言えば……
激しいボラティリティが引き起こす、暴落のメカニズムに!


TECLに散々フルスイングビンタ食らい続けながら今さらかよって話だけど!
痛覚ないじゃろ、もう


任意の相関を持った複数の仮想株を生成できるようにした──が。
以前、ボラティリティとリターンの値を与えると、それに従った株価チャートができあがるスプレッドシートを作りましたが。



これに手を加えて、例えばそうしてできた仮想株をAとすると、その仮想株Aに対して任意の相関係数とボラティリティを持った仮想株B、Cを同時に生成できるようにしたんですよね。

こうして、TECLを模して作った仮想株Aと、相関がほぼ0のTMFを模した仮想株B、相関がややマイナスのVIXMを模した仮想株Cみたいなのをランダム生成し、これらをどういう比率で運用し、どういうタイミングでリバランスすれば最もリターンを押し上げるのか、といった研究をしようと思ってたんですけども──。

仮想株 例
TECLを模したボラティリティ70%, リターン11%のAと、VIXMを模した、Aとの相関係数が-0.8でボラティリティが27%のB、TMFを模した、Aとの相関係数が0でボラティリティが34%のC。
黒はA, B, Cを7:2:1の比率で組み込んだPF。X軸の赤い印でリバランス。


ところで、ベースとなる仮想株Aは、与えたボラティリティはそのまま、リターンは運次第なんですよね。
ちょっとうまく伝えられるか不安ですが、「ボラティリティ」と「リターン」を与えると、その数値を参照しながらランダムに日々の値動きを生成するものなので、最終的なリターンは生成する度に変わるんですよ(ボラティリティと相関係数はほぼ一定だけど)。

そうして何度もTECLと同じボラティリティとリターンを持った仮想株を生成するんですが……。

たった5年のシミュレートで、だいたい大暴落して死ぬ!
そう、何度も何度も、TECLと同じボラティリティとリターンを持った仮想株を生成してみるんですけど、かなり高い確率で回復不能な程下落するんですよね。

こんなんとか……


こんなんとか!
仮想株 例3

分かってたことなんですけどもね……!
ボラティリティが激しい運用は、勝ち続ければ圧倒的なリターンを生むものの、多くのケースでは元本を割ってしまうって!

福利 × ボラティリティ = 地獄!
これ、投資(ギャンブルも)する上でもの凄く大切だと思ってるんで、どこかでちゃんと纏めたいと思ってるんですが。
中学校の数学レベルで理解できることなんで、ちょろっとだけ書くと……

コイントスで福利の恐ろしさに触れてみる
例えば、コイントスで表が出たら資産がX%増え、裏が出たらX%減る、という勝負を10回する時

まず、Xの値をいくつにとっても期待値は変わりません。
またここでは10回勝負としてますが、この回数を変えてもやはり、期待値は変わりません。
プラマイゼロ、つまり元本のままが期待値になります。

しかし。

値を大きくとればとるほど、勝ち続けた際のリターンは莫大になる反面、負ける可能性自体は増えるんですよね。

Xの値が10%であれば、10回中6回勝てば資産はプラス(約+16%)になりますが、Xを大きく、例えば50%に上げると、10回中6回勝った程度では資産は増えず、マイナス(約-29%)になります。
コイントス自体は勝ち越してるにもかかわらず、です。

つまり、ボラティリティを上げていくと、期待値(平均値)は同じだけど、中央値はどんどん下がっていくということですね。

実際の投資では、ボラティリティに対して、リターンという上向きの力を加味して計算するわけですが……。
このリターンがボラティリティによる下向きの力に対して十分大きくなく、中央値が元本を割る位置にある場合、運用期間が長ければ長いほど、資産は目減りしていく可能性が高くなるのです。

長期間投資をするほど資産を減らすパターンもある
巷ではよく「時間は投資の味方!」だなんて言われてますが、この場合は完全に敵に回るってわけですね。

大事な部分なんで繰り返しますが、ボラティリティが大きすぎる運用をする場合、投資期間が長ければ長いほど資産が減る方向に力が加わるのです。

このような、「福利で資産が増減するとき、ボラティリティがその資産にどのように影響を与えるか」については分かってるつもりでいたんですけどね……。

実際に何度もハイボラティリティの仮想株を生成する度、それらが幾度も床を舐める姿を目の当たりにして愕然としてしまいますね。

だってもう、PFの割合だとかリバランスのタイミングとか、そんな小手先の技術でどうこうなる範囲を超えてますから!

実際に今、そうしたハイボラティリティ銘柄(TECLやTQQQ)を保有してとんでもない暴落に巻き込まれている私からしてみれば、説得力がありすぎる実験結果。
「もう少し賢く生きるべきだった」と反省してるところです。

反省して、16万円分TECL買った!
ここは反省の意味が違う世界線なんじゃ!

おわりに
ボラティリティと資産運用の話は、ちゃんと学問としてやろうとすると、あり得ないくらい複雑な計算式がでてきてしまいますが、掛け算さえできれば、こうしてそのヤバ味の片鱗くらいは味わうことができますね。

なぜ……、一体なぜ私は、もっと思慮深く物事を進めなかったのか……。

なーんてね。

実際は毎日干し柿食べて幸せに浸ってましたが、しかし上手くいかないシミュレート結果には実際うんざりしていて、ふて寝をくり返したりコロナに罹ったり、また運動中に大けが負ったりで更新止まってました。

今も味覚と嗅覚が一部欠落したままだよ!
お、恐ろしい……

しかし、資産にダメージを負いつつ(多少の後悔をしつつ)も、新しい戦略に思いを巡らせるのは楽しいもので、今度はVIXMとVXXを組み合わせたとんでもない戦略を思いついてしまったので、次回はその検証をしつつ記事にしたいと思います! ★★

「また馬鹿がとんでもねぇことやり始めたぞ」……って憐みながら読んでね!

↓書いた!