日本の証券会社でもショート(空売り)どころか、信用取引さえしたことがなかったので、海外の証券会社であるFirstradeで初めて行うショートは分からないことだらけ……。


手探りで進む中、分かってきたことを書き留める備忘録です。


Shortって、福利が逆に働くの?
もともとショートでごりごり稼いでいる人にとっては当たり前のことかもしれませんが……。
ロングしかしたことなかった私にとってはかなり斬新!

シミュレート中、どうにもぬぐい切れない違和感があったけどこれが原因だった!

ロングは利益が増せば増すほど伸びやすくなる

ロングポジションは素直に福利の効果を受けますので、資産が増えれば増えるほど、加速度的に増加速度が上がっていきます。


例えば。


ある株を100ドルで購入したとして、これが3日連続で10%ずつ上昇したとすると……


購入額 100.00ドル
1日目 110.00ドル 含み益10.00ドル 前日比+10.00ドル
2日目 121.00ドル 含み益21.00ドル 前日比+11.00ドル
3日目 133.10ドル 含み益33.10ドル 前日比+12.10ドル

前日比を見ると、徐々に上昇力があがっていっているのが分かると思います。
こんな感じですね。
これが福利のパワー!


ロングは福利で増える

アルバートのやつが「人類最大の発明」と呼ぶのも分かるな!
彼をファーストネームで呼ぶやつ、初めて見たぞぃ!
彼の脳細胞一個分の価値すらない人が……

ところが……。


ショートは利益が増せば増すほど伸びなくなる

ショートはロングの逆になるんですね。


例えばある株を100ドルでショート(空売り)したとして、これが3日連続で10%ずつ下落したとするとどうなるか。


売却額 100.00ドル
1日目 90.00ドル 含み益10.00ドル 前日比10.00ドル
2日目 81.00ドル 含み益19.00ドル 前日比9.00ドル
3日目 72.90ドル 含み益27.10ドル 前日比8.10ドル

……と、含み益の上昇力が次第に下がってくることが分かります。
こんな感じ。


ショートは福利が逆に働く

逆にショートした銘柄の株価が上昇してしまった場合、つまり損失が出ている場合は、福利の効果を受けて、損失が加速度的に大きくなるわけですね!


完全に盲点だった!

ショートの恐ろしさを「買いは家まで、売りは命まで」といった言葉で表すことがあります。
これはショートの持つ特性のうち、「利益は限定(売建てた額まで)、損失は無限大」という部分を説明したものだと思いますが、しかしこのように、利益側と損失側で加速力が違う点も抑えておきたい部分ですね。


ヘッジを取らんと、本当に命まで持ってかれるぞぃ!

PFにロングとショートがあると、リバランスの意義がブレる

これも意外な発見でしたね。
(というか、私が間違った考え方をしているだけかもしれませんが)


どういうことかというと。


ロングのみのリバランスは逆張り

ロング同士のPFの場合、例えばA株とB株を6:4の比率でPFを組むとして。


時がたち、市場の変化によってこの比率が7:3といった風にずれていった場合、これを元の比率6:4に戻すことをリバランスといったりしますよね。


具体的には、利益が出ているAを売り、損失が出ているBを買ってそれらの比率を調整することになります。


つまり、ロングポジションのリバランスとは、いわゆる逆張りの戦略と言い換えることができます。


ショートのみのリバランスは順張り

では今度は、ショート同士のPFを考えてみましょう。
A株とB株をショートし、そのポジションサイズを6:4としたとして。


これが市場にもまれ、7:3にずれたとすると、何が起こるか。
Aは株価が上昇して損失が出、Bは下落したため利益が出るわけですが。


これを元の6:4にリバランスしようとすると、損失が出ているAのポジションを縮小し、利益が出ているBのポジションを増やすことになります。


つまり、ショートポジションをサイズによってリバランスするということは、順張り投資と言えそうです。


では、ロングとショートが入ったPFは……?

こんな具合に、「ポジションサイズ」に従ってリバランスをすると、ロングとショートで運用のポリシーが真逆になってしまうってわけですね。


ではこの2つを含んだPFでリバランスをするとどうなるか。




……ど、どうなるんでしょうね……




いえ、どうもこうも上で示した通り、ロング側は逆張り、ショート側は順張りのポジション調整がされることになるんですね。


だからどうだってこともありませんが、このあたり、混ぜこぜにしてリバランスすることに、リバランスというものに論理的な意味を持たせたがる層はどう解釈してるのか気になります。


まぁそういう層が、PFにロングとショートを混ぜるなんてなさそうですし、そうでなくてもロングとショートをPF、というかひとまとめにして投資戦略を練ってる人は稀だろうとは思いますけども。


みんながどうやってポジションサイズを決めてるか、ちょっと気になるな!
やはり、ショートポジションをPFの一部とは考えんのじゃないかのぅ?
そもそも長期間ショートすることが稀じゃろうし……

PFと見做すかどうかは別としても、実際に「限られた資産」という枠のなかでやりくりする以上、ショートポジションだってそのサイズは意識されてるはずです。


何に依拠してるのか、今一度振り返ってみたいものですね。


終わりに

というわけで、砂場で見つけた珍しい石を誇らしげに親に見せる児童のような記事、いかがでしたでしょうか。


冒頭で触れた通り、一切ショートに触れずに生きてきましたので、目にする全てが新鮮でこのような記事を書いてしまいました。


同じくショート未経験者、或いは初心の方の一助になれば幸いです。 ★★